黄色いスイセン、黄水仙の花言葉は
「 私のもとへ帰って 」「 愛に応えて 」
でも、スイセンといえば
「 うぬぼれ 」「 自己愛 」「 エゴイズム 」
といった意味合いの花言葉が有名ですね。
どうもスッキリ腑に落ちないスイセンと黄スイセンの花言葉を
その由来と伝わっている物語から紐解いてみましょう。
スイセンとナルキッソス(Narcissus)は違うもの?
まずはスイセン自体の由来と花言葉についてです、
はやく黄スイセンの話しろよ~という方は飛ばしてもいいですが
順に読んでいくとより理解が深まるかと思います
スイセンは
ヒガンバナ科 スイセン属の多年草
英名はナルキッソス(Narcissus)といいます。
これが日本でスイセンと呼ばれている花ですが、
「 水仙 」という名前は中国から伝わったもので
「 水に咲く仙人のように美しい花 」という意味なんです。
スイセンの花言葉「自己愛」の由来
一方「 ナルキッソス 」は
ギリシャ神話の中の物語の1つに登場する美少年の名前。
彼は女性に全く興味がなく
美少年ゆえに多くの女性が彼に思いを寄せるのですが、
その女性たちをことごとくオコトワリしてしまいました。
その女性の1人、アメイニアスは
彼にフラれたことに絶望し、自ら生命を絶ってしまいます。
ナルキッソスは森の妖精(エーコー)にも愛されるのですが
またもや興味のないナルキッソスは
「 つまんね( ゚д゚ ) 」と見限ってしまいます。
ショックを受けた森の妖精エーコーは
自分の姿形(すがたかたち)を失ってしまい、
その声だけが「木霊」として残ったのです。
(音響用語「エコー」の語源)
それを知った女神ネメシスは
ナルキッソスに「 自分しか愛せなくなる 」呪いをかけます。
ある日、喉が渇いたナルキッソスは
水を飲もうと泉の水面に顔を近づけると、
そこに映った自分に強烈に恋い焦がれてしまいました。
自分の姿に見とれたまま水をのむことも忘れ
やせ細り、とうとう死んでしまいます。
(キスしようとして溺れたという説も)
ナルキッソスのいた場所に咲いた美しい花が
現在のスイセン(英名:Narcissus)で、
花言葉として「自己愛」ということになったのです。
黄水仙(キズイセン)は別物!?
じゃあ、黄色い水仙(キズイセン)の
「 私のもとへ帰って 」「 愛に応えて 」って、
なんか関係なくない!?
と思いますよね。
その通り、実はまた別の物語に由来していたんです。
その物語も同じくギリシャ神話の1つで
冥王ハーデスとその妻ペルセポネの出会いにあります。
女神アフロディーテのアイデアにより
息子のエロスに恋の矢を打ち込まれたハーデスは
デメテルの娘ペルセポネに恋してしまいます。
ある日、エンナの谷で花摘みをしていたペルセポネは
アフロディーテの狙い通り
ハーデスによって冥界に連れて行かれてしまうのです。
連れ去られるペルセポネの手から落ちた水仙は
その後黄色く色づく花を咲かせ、黄水仙となったとされています。
自分の娘を連れ去ったのがゼウスとハーデスだと知ったデメテルは
ゼウスに猛抗議をするも
「 冥王ハーデスの妻であれば申し分ないだろう 」とはねつけました。
デメテルは激怒のあまりオリュンポスを去り、
大地に恵みをもたらすという自らの仕事を放り出し、
そのまま姿をかくしてしまいます。
一方、ペルセポネはというと、
ハーデスの妻ということで丁重に扱われてはいたものの、
ハーデスの必死のアプローチに応えることは無かったのです。
この物語から考えると
黄スイセンの花言葉「 私のもとへ帰って 」は
ペルセポネの母デメテルの思い。
「 愛に応えて 」は
ペルセポネに完無視される冥王ハーデスの一方通行な思い。
ということになりそうです。
花言葉だけを見ると
「 別れた恋人とのよりを戻したい気持ち 」
と思ってしまいそうですが、それは少~し違うようですね。
黄スイセンの花言葉 まとめ
- スイセンとナルキッソスは分けて考えよう
- スイセンは中国での名称
- ナルキッソスはギリシャ神話から生まれ
- 黄スイセンはペルセポネとハーデスの物語から生まれたもの
同じ花なのに全く方向の違う言葉が当てられていても
花言葉辞典などでは単に並べられているだけ。
こうして調べてみると
やっぱりそれぞれに物語があったりして面白いものですね。
花言葉について絶対に知っておきたい豆知識まとめ
花言葉について書いた記事をまとめました。うっかり変な花言葉を贈ってしまわないためにも、また、知っているだけで花を素敵なプレゼントにすることもできるのが花言葉。気になる花言葉があればぜひご一読ください。
おまけの花言葉
余談ですけど、
英会話などを勉強する時に言われることですが、
「 言葉の意味は状況の中に埋め込まれている。 」
それぞれの花言葉に秘められたその情報量、その思いの丈は
単純な1つのコトバではとても表しきれません。
この花の花言葉はこう!と決めつけず、
あなただけの花言葉、
あなたとあなたの恋人にとってだけの花言葉、
というのもあっていいなと思うんです。
そんなことを考えながら
黄スイセンの花言葉とその由来についてまとめてみました。